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SDGsとは、2015年9月に国連サミットで採択された国際目標です。「持続可能な開発のための目標」として、2030年まで続きます。
SDGsでは、17の目標と169のターゲットが設定されており、開発途上国だけでなく、日本を含む先進国も積極的に取り組んでいます。
今回はその中で、SDGsの10番目の目標「人や国の不平等をなくそう」について解説します。
不平等は、社会と経済の長期的な発展を脅かす存在です。生活を向上させるチャンスが平等に得られる社会でなければ、「持続可能な世界」というSDGsの目標を達成することはできないのです。
そのため、SDGsの10番目の目標では、国内および国家間の格差を是正することを掲げています。
世界では、人口の10%を占める最富裕層が、全世界の所得の40%を所有しているとされています。一方で、最貧層が所有する所得の割合は、わずか2%~7%しかありません。こうした所得格差は、グローバルな問題です。必要性が大きい地域に対する援助と直接投資を、国家をまたいで施さなければ、解決できない問題なのです。
また、この目標でいう不平等とは、所得格差だけを指すものではありません。性別、年齢、障害の有無、性的指向、人種、階級、民族、宗教など、世界各国に存在するさまざまな差別による不平等を失くし、全ての人にとって住みよい社会をつくることも、この目標に含まれています。
日本でも近年は「格差社会」になっていると言われますが、世界に存在する格差や差別は、日本で暮らしている私たちが感じる以上に深刻なものです。
健康保険が発達している日本では、ほとんどの人が病気になれば高度な医療を受診することができます。民族や宗教による争いも少なく、難民を目にする機会もほぼありません。
しかし、世界に目を向ければ、貧困が命に関わるケースも珍しくありません。
開発途上国では、5歳未満児6,900万人が、予防可能な疾病で命を落としています。また、20%の最貧層世帯の子どもは、20%の最富裕層の子どもに比べ、5歳の誕生日を迎える前に死亡する確率が3倍も高くなっています。子どもだけでなく、農村部では都心部に比べて、出産時に死亡する女性の割合が3倍も高くなっているのです。
開発途上国における経済格差は、是正されるどころか拡がりをみせており、貧困から脱しようとする移民の数も増加傾向にあります。国境を越えた移民の数は、現在世界人口の3.3%を超えています。世界中で約2億4,400万人の人々が、よりよい暮らしを求めて国境を越えているのです。
不平等は経済格差だけなく、差別によっても生まれています。
例えば、障害を抱える人に対する不平等です。社会保障が急速に発展している現代においても、障害を抱える人々が高額医療費を負担する割合は、平均の5倍にのぼります。
性別に対する差別もあります。性差別の是正は叫ばれてはいますが、まだ世界的にみれば、女性は男性の平均賃金の7割も稼いでいない状況が続いています。非正規雇用の割合も女性のほうが高くなっていたり、家事従事者の85%は女性だったりもします。最低賃金すら保証されていない女性が、世界では多数を占めているのです。
不平等は一つの国家だけで解決できる問題ではありません。金融市場や機関の規制を改善し、必要な地域に開発援助や投資が行える環境を作る必要があります。そのためには、国をまたいでグローバルな施策をとらなければなりません。
不平等を根絶するための具体策として挙げられているのは、若者や移民、その他の社会的弱者のコミュニティに対し、教育や社会保障、ディーセント・ワーク(働きがいのある仕事)を促進するため、投資や支援をすることです。先進国が一方的に援助するだけでなく、開発途上国が意思決定に参加できるようにすることも重要です。当事者が解決にかかわることで、より効果的で信頼性のある解決策に導くことができます。
また、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国際機関であるUN Womenは、ディーセント・ワークやジェンダーに考慮した経済政策の提唱を通して、不平等の削減に取り組んでいます。差別的な法律、政策、慣習の撤廃を推進し、女性を取り巻く労働市場の改善や、家事従事者の社会的保護に取り組んでいます。
日本で暮らす私たちにとって、貧困や差別の深刻さを身近に感じる機会は、少ないかもしれません。しかし、世界に存在する、あらゆる格差や差別などの問題は、地球上に住む全ての人が目を背けてはいけないものです。一人ひとりが世界の貧困や格差に目を向け、関心を示すことが求められています。
次回は、この10番目の目標「人や国の不平等をなくそう」について、日本国内での取り組みを紹介していきます。
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