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少子高齢化が進んで労働人口が減少し、さらに近年の景気上向き傾向も重なって、各業種では人手不足に直面する企業が増えています。労働力は今や売り手市場となっているため、転職先を見つけやすいので離職率も高いです。そのような状況の中で、各企業はどのようにして人材の定着を図っていくべきでしょうか。
今回は、人材定着化に向けて、人事・総務が対応したいことについて紹介します。
厚生労働省の雇用動向調査によれば、平成29年の1年間における一般労働者の離職率は11.6%。全労働者の1割強が、勤め先を退職しているという状況です。男女別では男性の離職率が13.0%、女性が17.2%と、女性の方が4ポイントほど高くなっています。
産業別に見てみると、離職率が最も高いのは「宿泊業、飲食サービス業」(30.0%)です。以下、「生活関連サービス業、娯楽業」(22.1%)、「サービス業(他に分類されないもの)」(18.1%)、「不動産業、物品賃貸業」(16.5%)と続いており、全体的にサービス業において離職率が高い傾向にあると言えます。ただ、これらの産業は離職率が高いものの、入職率も同じように高いです。1つの企業に定着せずに転職する労働者が多いことがうかがえます。
では、なぜ労働者は離職していくのでしょうか。厚生労働省の同調査によると、転職入職者に前職を辞めた理由を尋ねた質問に対しては、男性労働者だと「定年・契約期間の満了」(17.8%)、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(12.4%)、「給料等収入が少なかった」(11.0%)、「会社の将来が不安だった」(8.9%)などの回答が多くなっています。
一方、女性労働者では「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」(14.7%)、「職場の人間関係が好ましくなかった」(13.0%)、「定年・契約期間の満了」(11.5%)などが多いです。定年や契約期間の満了による離職を除くと、男女とも待遇に不満を感じて離職している人が多いことがわかります。また、女性において顕著なように、人間関係に悩んで離職する人も少なくないようです。
従業員が離職せず、長年にわたって勤め続けるメリットは色々あります。まず第一に、人的費用の効率がアップします。新卒者、中途採用者のどちらの場合でも教育・指導には一定の費用や時間などのコストが必要です。定着率が上がれば新たに採用する頻度が下がり、「新たな社員が入ってくるたびに、コストをかけて指導する」という手間を省けます。また、定着率が高ければ教育・指導にかかった費用が無駄になりにくいので、企業としては自信を持って従業員教育に注力できるでしょう。働く側も、教育体制が整い、スキル・キャリアアップを目指せる企業であれば、より定着志向が高まります。このように人材が定着するようになれば正のスパイラルが起こり、将来管理職・中核社員となる優れた人材を育てやすくなるのです。
一方で、離職者が多いと、企業がそれまで培ってきた技術やノウハウ、人的コネクションが流出しやすく、企業の競争優位性を失うリスクもあります。従業員が離職して再就職をするとき、全く新しい業種へ移るよりも、それまでの経験を基に同種の業界に属する企業に転職することが多いです。そうなると、転職先ではかつて所属した企業のやり方やそこで培った人とのつながりを活用しながら働くことになるので、元の企業にとっては経営資源の流出となる恐れがあります。定着率を高めれば、そのような危険性を減らせるでしょう。
人材を定着させるために企業が行う施策は、リテンション(維持)・マネジメントとも呼ばれています。
重要となるのはキャリアパスの制度の整備です。優秀な人材であるほど、長期的な視野を持って業務に望み、成果を出そうとします。能力向上に取り組む意欲も高いですが、その企業に勤め続けると将来どのような仕事を任されるようになるのか、待遇はどのくらい上がるのかが明確でなければ、力を伸ばそうとするモチベーションを保てません。キャリアパスがはっきりとしていれば、本人の将来像を描きやすくなり、不安なく力を発揮できます。
人材定着のためには、社内の人間関係を良好に保つための工夫も大切です。かつてはクラブ活動やサークル活動などの社外活動が行われていましたが、最近では社内コミュニケーションを活発にするためにさまざまな方法が採られています。
例えば、飲み会のお金を企業が出す、というのもその1つです。社内部課やチーム単位で飲みに行くときに支給するようにすれば、「タダだから」と飲み会を開く口実も作りやすく、同僚同士や上司・部下間のコミュニケーションが増えます。さらに最近では、パワハラを巡る報道に注目が集まっていることもあり、外部事業者を利用した質の高いハラスメント防止研修を行っている企業も増えてきました。
人材の定着率を高めると人材育成のコストパフォーマンスが向上し、優秀な人材を育てやすくなるので、企業を継続し、成長させ続ける上では、従業員の離職防止に努めることが大切です。厚生労働省の調査で離職理由として多い、労働環境・待遇の悪さと人間関係の悪化。この2つの問題に真正面から向き合い、改善点を模索していくことが、人材定着を目指す上でのポイントになると言えそうです。
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