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デジタル社債とは?日立製作所が国内最大の起債をしたことが話題に

公開日2024/01/09 更新日2024/01/09


12月7日、日立製作所が総額100億円のデジタル社債を起債したことが話題になりました。

そこで今回は、注目のデジタル社債の概要やメリットについて詳しく解説します。

デジタル社債とは

そもそも社債とは、企業が資金調達のために発行する債券のことです。新規事業を開始したり、大型設備を導入したりする際、企業は膨大な資金を必要とします。その際、資金調達の方法としては銀行からの融資や新株発行など複数の選択肢がありますが、社債発行もそのための有効な手段となります。


会計上では、返済の必要がある「負債」に該当します。返済期限は1年以上あることが一般的であるため、多くの場合は貸借対照表上の固定負債に分類されます。(ただし返済期限が1年以内のときは、流動負債に含まれます。)


社債は証券会社などを通して販売するものとされ、企業側が購入者を特定して販売することは法律上禁止されています。企業と個人が癒着する形で社債を発行すると、改ざん・不正が起こりやすくなるためです。また、投資額は100万円など大口取引が主体であり、主な顧客は機関投資家となるのが従来のあり方でした。


しかしデジタル社債の登場によって、この状況が大きく変わりました。 デジタル社債とは、発行プロセスを電子化した社債のことです。2020年5月の改正金融商品取引法の施行によって発行が可能となった社債で、その最大の特徴は「ブロックチェーン技術」を使用している点にあります。

デジタル社債の肝となるブロックチェーン技術とは

ブロックチェーン技術とは、インターネット上において複数のコンピューターが取引記録を相互に監視しながら情報共有を行い、不正を防止するシステムのことです。


このシステムを活用することで、社債の取引のすべてを監視できるようになり、取引記録の不正を確実に防止できるようになります。2020年5月に施行された改正金融商品取引法により、このブロックチェーン技術を活用したデジタル社債については、発行が認められるようになりました。ブロックチェーンによりデジタル株式、社債を発行して資金調達を行うことは、STO(Security Token Offering)とも呼ばれています。


ブロックチェーン技術の導入によって取引記録の不正を自動的に防止できるので、従来の社債で必要だった「不正防止のため証券会社を介する」といったプロセスが必要ありません。法改正にともない、2020年からは事業会社が直接、個人投資家にデジタル債として社債を販売できるようになりました。さらにデジタル社債では投資額の小口化もしやすくなり、必要個人向けに1万円から投資ができるケースも登場しています。受取利息についても、現金ではなく各企業のポイントによる受け取りも可能なる商品もあります。

日立製作所が国内最大規模のデジタル社債を発行

現在大きな注目を集めているのが、日立製作所が100億円にも上るデジタル社債を法人向け(機関投資家向け)に起債したとのニュースです。デジタル社債の発行額としては国内最大になります。


同社が発行するのは、環境問題の解決につながる事業に用途を限定して資金調達を行う「デジタル環境債」です。国内で発行される法人向けのデジタル社債としては2022年のJPX(日本取引所グループ)に次いで2番目のケースとなります。この発表に合わせて、大手保険会社の日本生命が、同社のデジタル環境債に50億円投資したことを公表しています。


2020年の法改正以降、個人向けのデジタル社債は多くの企業で発行されています。ただ、資金調達額は1億円~10億円程度でした。国内初の法人向けのデジタル社債を発行したJPXも、金額は5億円にとどまっています。日立製作所が桁違いの金額である100億円ものデジタル社債を発行したことは、歴史的な出来事とも言えるでしょう。

デジタル社債のメリット

デジタル社債には以下のようなメリットがあります。


小口取引が可能

社債のデジタル化により、個人向けの商品として1万円から投資できる商品も登場し、誰でも気軽に投資できるようになりました。投資する側としては、老後資産形成の方法として考えるなど選択肢が増えます。また企業側も、従来とは異なる形態による社債発行ができることになり、資金調達の選択肢が増えることになります。


社債発行・管理を自動化でき、発行・管理コストを減らせる

デジタル社債は人の手を介さずネット上で取引を完了できるので、従来の社債よりも発行および管理にかかるコストを大幅に減らすことができます。


不正がしにくい

デジタル社債はブロックチェーン技術を基盤とし、発行や取引内容が記録され、常に監視されている体制が構築されています。そのため取引記録の改ざんは極めて難しく、不正が発生しにくいので、投資家保護の面からも利点が大きいという特徴があります。


債券に付加価値をプラスできる

デジタル社債は既存の電子システム・サービスに組み込むことで、企業が行う付加価値サービスを簡単に付与できます。たとえば、社債利息の一部をカード会社発行のポイントに返還できるケースや、企業によっては利息の代わりに商品を配布するケースもあります。たとえば食品メーカーのカゴメは、同社のデジタル社債を購入した人に野菜ジュースをプレゼントする特典を行っています。

まとめ

従来の社債は証券会社を通して販売されており、大口が基本でした。しかしブロックチェーン技術を利用したデジタル社債の登場により、企業が社債を個人投資家に直接販売できるようになりました。


また、投資額の小口化を実現し、ポイントやプレゼントなどを付与できるようにもなっています。今後もデジタル社債市場は成長していくことが予想されます。



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