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資本金、資本準備金、資本剰余金の違いとは

公開日2020/10/03 更新日2020/10/04
”資本金、資本準備金、資本剰余金の違いとは”


最近、フリーランスとして働く個人事業主が増えてきましたが、順調に収入が伸びてくると、会社組織にしたほうが事業面や税制面で有利な場合もあります。実際に会社設立を検討している人もいるでしょう。

しかし、会社の設立や運営にはさまざまな手続きや事務作業が必要で、聞き慣れない言葉もでてきます。そのため、会社設立に二の足を踏む人もいます。

確かに、会社設立にはメリットもデメリットもあり、慎重な検討が必要ですが、用語の意味も分からなければ検討もできません。

そこで今回は、会社設立時によく聞く言葉で、意味を混同しやすい「資本金」「資本準備金」「資本剰余金」の違いについて説明します。

資本金とは

「資本金」という言葉は、企業の規模を表す目安として、よく聞かれます。国の統計でも資本金の額によって企業を分類していますし、資本金によって法人税や消費税などの取り扱いも変わります。

では、そもそも資本金とは、どのような資金を指すのでしょうか。簡単にいえば、それは「会社を設立するための元手」のことです。つまり、設立時に所有している運転資金です。そして、資本金の額は会社の信用にも関わります。

株式会社であれば、通常、自分で蓄えた資産や株主を募って集めた資金を元に会社を設立します。会社法にも次のようにあります。

【会社法第445条第1項】

・株式会社の資本金の額は、この法律に別段の定めがある場合を除き、設立又は株式の発行に際して株主となる者が当該株式会社に対して払込み又は給付をした財産の額とする。

そして、会社は資本金を元に事務所を構えたり備品をそろえたりし、事業に必要な仕入れを行い、人を雇うのです。もちろん、開業してすぐに利益が上がるとは限りませんから、当面の運転資金にもなります。

法律的には、資本金は1円から設立できます。しかし、実際にはこれだけの必要額を見込んで資本金を用意しなければならないのです。

参考までに、総務省が行った「平成26年経済センサス-基礎調査」によると、日本企業のうち資本金で最も多いのは300万から500万円未満で全体の34.6%、次いで1000万円から3000万円未満の33.0%でした。

資本準備金とは

資本金について、会社を設立するための資金と説明しましたが、実は集めた資金をすべて資本金として計上する必要はありません。

資本金の多さは会社の信用に関わります。金融機関から融資を受ける際、資本金の額は必ずチェックされますし、新規取引の際も資本金が少ないと「この会社は運転資金があるのか」と懸念を抱かれます。また、事業免許を取得する際も、資本金額が条件の1つとなることもあります。

ですから、資本金は多いほうがいいのですが、逆に多すぎると法人税の税率が上がってしまことがあり、注意が必要です。また、事業が赤字になると資本金で穴埋めする必要があり、そうすると資本金額を減らす(減資)手続きが必要となります。

こうしたことにならないよう、会社法では資本準備金というものを規定しています。

【会社法第445条2項・3項】

・前項の払込み又は給付に係る額の二分の一を超えない額は、資本金として計上しないことができる。

【同3項】

・前項の規定により資本金として計上しないこととした額は、資本準備金として計上しなければならない。

つまり、会社設立のために集めた資金でも、すべて資本金として計上する必要はなく、半分までは資本準備金とすることができるのです。たとえば、1000万円の資金が集まったのであれば、資本金を500万円とし、残りの500万円を資本準備金にするという具合です。

こうして、資金の何割かを資本準備金に回せば、税金面で有利な額に資本金を抑えることができますし、収益が上がらず赤字になっても減資せずに資本準備金で当座をしのげます。

資本剰余金とは

資本剰余金とは、会社設立時に用意したり増資の際に集めたりした資金のうち、資本金に充当しなかった資金のことです。というと、資本準備金と同じではないか、と思われるかもしれませんが、資本準備金は資本剰余金の一部なのです。

資本剰余金は資本準備金と「その他資本剰余金」に分けられます。その他資本剰余金とは資本を元にした取り引きで得られた余剰金のことです。

どのような場合に生じるのかといえば、大きく2つのケースがあります。

1つめは赤字の補填や配当を行う目的などで資本準備金を取り崩すときです。資本準備金の減額には株主総会の決議などの手続きが必要で、その後、帳簿上でいったんその他資本剰余金に振り替えます。

最近では、ミドリムシを使った健康食品などを手がけるユーグレナが2019年9月期連結最終損益で約98億円の赤字を計上したため、約119億の資本準備金のうち約97億円を取り崩し、話題となりました。

2つめは、自己株式を処分したときです。たとえば、帳簿価格1000万円の自己株式を1500万円で売却したとします。すると、500万円の利益が出ます。この利益は通常の収益とは違い、資本を元にした取り引きということになり、事業活動で得た剰余金とは区別して、その他資本剰余金として処理されるのです。

まとめ

会社を設立する目的は人それぞれですが、会社を設立すると出資者や取引先への責任も重くなります。出資者から集めた資本金をいい加減に扱うわけにはいきませんし、取引先には資本金など信用度に関わる情報を正確に開示しなければなりません。

「資本金」「資本金」「資本剰余金」など紛らわしい用語もありますが、会社の信用を高めるために正しく意味を理解し、適切な財務処理を行うことが求められるのです。

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