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江戸時代に伝来し、嗜好品として庶民に定着したたばこですが、現代においては常に値上げの対象とされてきました。2019年10月の消費税10%増税から1年経った2020年10月1日、たばこ税増税に伴い、JT、PM、BATJなど大手たばこメーカーは一斉に値上げを実施しました。
今回は、たばこ税の内訳をはじめ、過去の値上げの流れや喫煙率の変化、たばこ値上げに対する喫煙者の声を紹介します。
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2020年10月1日からたばこ税が上がり、一般的な紙巻きたばこだけでなく、加熱式たばこや葉巻たばこも含め、主要銘柄の価格が値上がりしました。JT(日本たばこ産業)では、40~50円、PM(フィリップ・モリス)では20~50円、BATJ(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン)では30~40円の値上げ幅です。
売上の多い銘柄のひとつであるメビウスを例に挙げると、これまでの490円から50円値上がりの540円となりました。実質10%の値上げです。
たばこの価格には、次の4つの税が含まれています。
・国たばこ税
・地方たばこ税
・たばこ特別税
・消費税
メビウス1箱(540円)を例に税金を算出すると、4つの税負担金額は333.97円/61.8%となります。ちなみに、ビールの税負担率は48.5%、ウイスキーは28.9%です。たばこと酒類の税率比較から、同じ嗜好品のうちたばこの税負担は重いことがわかります。
2019年度における国税の総計、62兆1,751億円に占めるたばこ税の割合は、約1.6%の9,975億円です。
総務省、2018年度(決算額)の「地方たばこ税、財務省の国たばこ税およびたばこ特別税」のデータによると、年間たばこ税額の内訳は次のようになっています。
・国たばこ税:8,613億円/43.6%
・地方たばこ税:9,892億円/50.1%
・たばこ特別税:1,248億円/6.3%
上記3つのたばこ税額に加え、別途消費税が加算されて、たばこの価格が決定されます。
たばこへの課税の歴史は、1876年にまで遡ることができます。当初は印紙の貼付によりたばこ税が課せられていました。その後、1898年に葉煙草専売法が実施され、1904年から専売範囲を広げます。
1949年、日本専売公社が大蔵省から引き継ぐ形となり、たばこ消費税が誕生しました。1989年の消費税法施行を機に、「たばこ消費税」から「たばこ税」の名称になりました。
たばこの値上げは、物価上昇や消費税の上昇なども影響していますが、過去と現在の賃金上昇率を考えると、喫煙者には負担増となっていると推測できます。また、たばこは簡単に税を課せる対象物品としても有名です。次に示す増税の影響により、たばこの価格は年々上昇しています。
1997年4月:消費税5%増税
↓
1998年12月:たばこ特別税創設
↓
2003年7月:たばこ税増税
↓
2006年7月:たばこ税増税
↓
2010年10月:たばこ税増税
↓
2014年4月:消費税8%増税
↓
2018年10月:たばこ税増税
↓
2019年10月:消費税10%増税
↓
2020年10月:たばこ税増税
1969年に発売されたセブンスターの価格は100円です。以降、徐々に価格が上昇し、2020年10月1日からは直近価格の510円から約10%アップした560円で販売されています。つまり、約50年で5.6倍になった計算です。
メビウスの前身は、1977年に発売されたマイルドセブンで、2013年2月から新ブランドとしてメビウスと改称されました。発売当初価格の150円から価格上昇し、2020年9月31日時点では490円でした。マイルドセブン時代から43年が経った2020年10月1日からは、3.6倍の価格となる540円で販売されています。
度重なる増税や昨今の健康志向により、喫煙率にも変化が現れています。習慣的に喫煙している人の割合は、過去からどのように変化しているのでしょうか。
厚生労働省は「最新たばこ情報」サイト内で、1989年から2018年にかけての「成人喫煙率(厚生労働省国民健康栄養調査)」結果を公開しています。公開結果から、10年ごとの喫煙率の推移をまとめたのが次のグラフです。(年代平均・男女別)
1989年当時の男性の喫煙率は55.3%と半分以上が喫煙者だったのですが、徐々に減少しながら2008年には36.8%となり、30年後の2018年には約半分近くの29.0%に推移しています。女性の喫煙率は男性ほど顕著な推移はみせず、1989年の9.4%、1998年の10.9%、2018年の8.1%と、おおむね10%前後を推移しています。
たばこ値上げに伴い、喫煙者たちはどのような反応を示しているのか、ネット上からの声を紹介します。
・買いだめするのを忘れた
・カートンで買いだめした
・あるだけ吸ってしまうので、あえて買いだめしない
ちまたでは、買いだめ派と買いだめしない派に分かれたようです。
「喫煙文化研究会」サイトには、作家やジャーナリストらによる増税への意見が掲載されています。サイトの趣旨から、「格差社会の助長になるのでは」「増税では税収は増えない」「増税するなら筋を通して」など、相次ぐたばこ値上げへの否定的な考えが示されています。
たばこを吸わない人からすれば、たばこの値上げが直接的に生活や人生に与える影響は少ないものの、喫煙者からすれば、ダイレクトに家計を圧迫するのは必至です。今後、たばこ1箱1,000円への値上げも想定されており、喫煙者の数自体もさらに減少する可能性が大きいでしょう。政府には、十分に課税されているたばこ以外からの税収を探ることが求められているのかもしれません。
嗜好品として長年愛されているたばこですが、度重なる増税により価格は値上げされる一方です。2020年10月1日にもたばこ税が上がり、セブンスターやメビウスなど、たばこの主要銘柄は軒並み値上げされました。
男性の喫煙率の推移をみると、価格値上げと反比例するかのように減少傾向にあるものの、女性の喫煙率は30年前とほぼ変わりません。今回だけに留まらないであろうたばこ値上げが、喫煙率や税収面にどう変化を与えるのかを見守りたいところです。
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