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国が推進するテレワークによる在宅勤務は、企業にとって優秀な人材の確保やコスト削減などが可能となり、労働者にとっても家庭生活との両立や時間を有効活用できるなどのメリットがあります。
在宅勤務は労使双方にメリットがあるものの、自宅での労働という管理しにくい環境のため、ケガなどをした際に労災が適用できるのか迷う担当者も多いのではないでしょうか。
今回は、在宅勤務への再認識をはじめ、労災が適用される事例にはどのようなものがあるのか紹介します。
在宅勤務とは、「テレワーク」という働き方の1つで、企業に雇われている従業員の場合は、「雇用型テレワーク」といいます。雇用型テレワークに対して、個人事業主などが在宅で仕事をするのは「非雇用型テレワーク」と区分されています。
また、テレワークはいずれも勤務場所から離れて、インターネットなどを活用して仕事をしますが、主に3つの働く場所があり、それぞれの区分名があります。
● 在宅勤務:自宅
● モバイルワーク:顧客先、移動中、出張先の宿泊施設、喫茶店など
● サテライトオフィス:自社もしくは共同利用型のテレワークセンター施設
あらためて在宅勤務の位置付けを再認識すると、モバイルワークやサテライトオフィスと比べて、プライベートな空間で労働する形態であることがわかります。
在宅勤務の場所は自宅ですが、あくまでも企業に雇われた労働者である以上、労災(労働者災害補償保険法)が適用されます。
ここで把握しておきたいのは、「私的行為が原因であるもの」は在宅勤務で労災が適用されないという点です。
あくまでも在宅勤務中の労働に起きた「業務災害」に対して、適用・保険給付がなされます。
業務災害とは、業務を原因として起きたケガや病気、死亡(傷病等)を指すため、労働者が業務以外の行為によって発生した傷病等は該当しないのです。
通常勤務における通勤時に起きた傷病等には、労災のうち「通勤災害」として保険給付がなされますが、在宅勤務では通勤災害の適用がなされないことがあるようです。
テレワークのうち、モバイルワークやサテライトオフィスでの勤務には、通勤災害が適用されるケースがあります。
一方の在宅勤務では、「業務上必要な移動を除き、基本的に通勤災害は適用されない」と考えられているので注意が必要です。
しかしながら、在宅勤務を主としながらも出社する場合は、業務上必要な移動と解されて、労災(通勤災害)適用の可能性も考えられます。
こうした判断に迷う傷病等に対しては、担当者の主観で決定するのは避けたほうがよいでしょう。
在宅勤務者の通勤時における傷病等を含め、労働との一定の因果関係があるか不明な際は、所轄の労働基準監督署に相談してください。
在宅勤務で労災が適用される可能性が高い事例を2つ紹介します。
在宅勤務における所定労働時間内に、パソコン作業を一時中断してトイレに行った。
トイレから戻り着席する際に転倒してケガをした。
事例1では、トイレに行くことは業務行為に付随する行為であり、私的行為に起因するものではないと認められ、労災(業務災害)の認定を受けました。
在宅勤務における所定労働時間内に、仕事に関連する資料を2階に取りに行った。
階段を下りる際に足を踏み外して腰を打撲した。
事例2では、業務時間内であったことや業務との因果関係があることから、労災(業務災害)が適用されて給付対象になると考えられます。
在宅勤務で労災が適用されない可能性が高い事例を2つ紹介します。
在宅勤務中の所定労働時間内に、昼食の買い出しに出掛けてケガをした。
事例1では、業務時間内であっても労災が適用される可能性はないでしょう。通常勤務中の昼休みに外出した場合でも、会社施設から離れた私的行為とみなされるため、労災(業務災害)は認められないからです。
在宅勤務ではあるが所定労働時間外(深夜の時間帯など)の労働中に、子どもの世話をしたことでぎっくり腰になった。
事例2では、業務時間外である点と業務以外の私的行為に起因する傷病等と考えられるため、労災(業務災害)は認められないと解されます。
在宅勤務で労災が適用されるのは、規定された労働時間内かつ業務に付随した行為によるものです。また、在宅勤務の場合、業務上必要な移動を除き、基本的に通勤災害は適用されない点にも注意してください。今回紹介した事例に近かったとしても、個々の傷病等が労災適用されるか否かは所轄の労働基準監督署に相談するのがよいでしょう。
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