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日本の企業は長年、終身雇用による人事制度を採用してきました。しかし、近年は若い世代を中心に転職が当たり前の働き方が定着し、併せて、終身雇用制度を見直して年功序列ではない「成果主義」に切り替える企業が増えています。そこで一般的になりつつあるのが「年上部下」の存在です。
本記事では、年上部下が増えている背景や、接するときのポイントと注意点を解説します。
年上部下が増えている背景には、社会構造や働く環境などの変化が影響しています。ここでは、主な背景について解説します。
世界では先進国を中心に、高齢化社会が進行しています。日本も例外ではなく、医療技術や人々の健康意識の向上により平均寿命が延び、高齢者が急速に増加しています。一方で、少子化により若年層の割合が低下し、若者の労働人口が減少しています。そのため、企業などの組織で高齢者の労働力需要が増えており、積極的に採用する傾向があります。
また、日本では、年金などの経済的な不安感や健康生活の維持などを目的に、働くことを希望する高齢者がかつてより多く、定年後も働く人々が増えています。定年後に別企業へ転職する人はもちろん、定年後も役職が外れた状態でこれまでと同じ企業に勤め続けるパターンもあり、これらの人々が「年上部下」になっているのです。
かつての日本企業は「終身雇用」が当たり前でしたが、現代では転職による中途採用が増えており、キャリアが途中で変わる人は珍しくありません。その結果、受け入れ先である企業で「年上部下」が増えています。
「終身雇用」と併せて一般的だった「年功序列」も、近年のビジネス界では減りつつあります。特に、歴史が浅い企業や変革を目指している企業などは、従業員の年齢や経験に関係なく、個々の能力や貢献度を重視する成果主義・実力主義の評価制度を導入しているところが増えています。
そのため、年齢にとらわれずに役職がつき、「年上部下」がいるのが当たり前の状況になっているのです。
以上が、年上部下が増えている主な背景です。
ここでは、年上部下と接するときに意識して行ないたいことをピックアップしました。
年上の人にはたとえその人が部下の立場でも、敬意を表して敬語で話しましょう。
役職は組織内における「役割」であり、上下関係ではありません。ただし、へりくだり過ぎるとかえって不自然になるので、相手が自然に応じることができる程度にします。
上司は、部下たちの年齢などに応じて態度や対応を変えるべきではありません。年上部下を持ち上げ、年下部下に威圧的になる、ということがないようにしましょう。
すべての部下に平等に接することが、リーダーとして信頼され、チームが円満になる秘訣です。
部下と仕事をするなかで、時に褒めたり叱ったりといったやり取りがあります。部下が年下なら、これらのアプローチが部下のやる気を引き出して、仕事に良い影響を与えるかもしれません。しかし年上部下に対しては、叱ることはもちろん、褒めることでさえ“上から目線”に感じられ、本人のプライドを傷つけてやる気喪失に繋がることがあります。年上部下と働く際は「○○さんのおかげです」など、感謝するように意識してみましょう。
また、アドバイスをもらう、相談するといった相手の経験やスキルを尊重するやり取りも、良い関係性を築くうえで重要です。
一方、年上部下に注意しなければならないときは、人前ではなく、別室を使って一対一で話す場を設けるのがベストです。話す際は「○○していただけると助かります」といった、提案や依頼の口調で話すと、相手も素直に受け止めやすいでしょう。
以上が、年上部下と接するときに意識して行ないたい代表的なことです。
なお、接する際の態度や話し方が大切で、相手を尊重する気持ちを常に持つことが鍵となります。これは、年上部下だけでなく年下部下に対しても同様であり、尊重する気持ちが人間関係を良好にします。
ここでは、年上部下と接するときに注意すべきことを解説します。
年上部下がチームに入ってきた際の間違った対応のひとつに、年下上司が年上部下に遠慮して、業務の意思決定権を譲るなど過度の配慮をしてしまうことがあります。しかし、役職についていない年上部下が突然、意思決定権を持つようになると、チーム内が混乱する可能性があります。年齢にとらわれず、上司が自身の役割を担って意思決定を行ないましょう。
良い関係性が築けていないうちは、年下上司と年上部下ともに相手に対して遠慮しがちになり、コミュニケーションが希薄になりやすくなります。すると、報告・連絡・相談も滞り、業務上に支障をきたすことがあります。そのため、まずはしっかり「報・連・相」を行ない、年上部下にもチームの一員として意識を持ってもらうようにしましょう。
また、普段から年上部下と積極的にコミュニケーションをとり、その人の仕事に対する考えやこだわりなどを把握しておきます。
年上部下にとっても、年下上司は本来“苦手意識”を抱きやすい存在です。そのうえで互いが歩み寄って、仕事上の目標を共有できれば、年上部下は心強い味方になるはずです。
以上が、年上部下と接するときに注意すべきことです。
今すでに年上部下がいる人は、今回ご紹介したポイントや注意点を参考にして、接してみるとよいかもしれません。
また、今はいない人も、今後はもしかしたら年上部下を持つかもしれないので、ぜひ心にとめておいてください。
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